30年に耕作面積92万ヘクタール減 経営体は半減 農水省試算

11月7日の日本農業新聞

30年に耕作面積92万ヘクタール減 経営体は半減 農水省試算


基本計画で目標設定へ

 農業者が減ることで、2030年には20年と比べて92万ヘクタールの農地が耕作されなくなる恐れがあることが農水省の試算で分かった。東北地方の農地面積(24年で81万ヘクタール)を上回る規模だ。特に、土地利用型作物や果樹で耕作されなくなる農地が多い。同省は農地を維持するため、来年春に策定する次期食料・農業・農村基本計画で、品目ごとの経営体数や経営規模の目標を新たに設ける方針だ。

 試算は、6日の食料・農業・農村政策審議会企画部会で示された。同部会は、次期基本計画の策定へ議論を進めている。

 試算では、農業者を個人経営体と法人経営体に分け、近年の増減ペースや直近の年齢構成を基に、30年時点の経営体数を予測。20年時点の1経営体当たりの平均的な耕作面積を掛け合わせて、30年時点でどのくらいの農地が耕作されているか算出した。今後の経営規模の拡大や生産性の向上は考慮していない。

 試算は、土地利用型作物(米、麦、大豆など)、露地野菜、施設野菜、果樹の4品目に分けて行った。同省が品目ごとに耕作面積や農業者数の将来予測を示すのは初めて。

 経営体の数は30年で計54万となる見通しだ。20年の108万から半減する。法人経営体数が25%(1万)増の5万となる一方、個人経営体数が53%(55万)減の49万となり、全体では大幅に減る。

 耕作されなくなる恐れのある農地を品目別に見ると、最も多いのは土地利用型作物の74万ヘクタール。20年の耕作面積の3分の1に当たる。

 次いで果樹の9万ヘクタールが続いた。20年の耕作面積の半分弱が耕作されなくなる見通しだ。

 土地利用型作物の中心となる米や果樹は、担い手以外の中小・零細農家の生産に占める割合が高いのが特徴だ。担い手への集約が遅れており、今後、農業者の高齢化が急速に進み、耕作されなくなる農地の発生が大きな課題になるという。

 同省は「経営規模の拡大や生産性の向上など、人口減少下で農地や生産規模をどのように維持するか基本計画で道筋を示したい」(経営政策課)とする。

[解説]所得確保の道筋焦点

 農水省が、耕作されなくなる恐れがある農地面積として示した92万ヘクタールは、国内の農地面積の2割に当たる。高齢化に伴い農業者が急減する中で、生産基盤が弱体化する厳しい見通しを突き付けた。

 試算では、各品目の耕作面積や農業者数の将来予測に加え、現状の課題や対応方針も示した。土地利用型作物では農地の集約化など、露地・施設野菜や果樹では作業の機械化などを課題に挙げた。次期基本計画では、こうした課題の解決に加え、農業者の確保へ農業所得の確保に向けた道筋を示せるかが焦点となる。

 同省は次期基本計画で、品目ごとに農業経営体数や経営規模の目標を新設し、農地の維持を図る考えだ。今回の試算はあくまで、経営規模の拡大や生産性の向上が進まなかった場合のものだ。今後の対応が事態打開の鍵を握る。

(北坂公紀)

西田農園(おはたま本舗)

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